JASIAS-CHUBU 大会概要
- 第35回大会の概要をご案内します.
- 今大会では,研究者間のネットワーク形成と議論の活性化を促すことを目的に,あらたに「パネル発表」の募集もおこないます.
- 会員の皆さまの意欲的な参加・発表を期待しています.
- テーマ「映像圏における教育/視覚文化」
- 会期:2009年5月30日(土),31日(日),6月1日(月)
- 会場:名古屋大学野依記念学術交流館ほか
- 大会の趣旨:
- 「映像圏における教育/視覚文化」
- 私たちは現在,映像の未曾有の氾濫のなかに生きています.ニコニコ動画や YouTubeといった投稿サイトは,映画のパートやアニメーションはもとより,TV番組,CM からドキュメントまで,無尽蔵ともいえる映像のアーカイヴとなっています.それらは,携帯情報端末を通して,また都市に張りめぐらされた有線ネットワークを通して,日常に送りこまれ,私たちの生活を構成しています.その有りさまもまた映像として,サイバースペースへと送り込まれるという,連鎖のうち,私たちは浸っています.
そうしたなかで,映像に対するこれまでの理解,認識は少なからぬ変更を求められていると言えるでしょう.その視点のひとつは,映像を個別のコンテンツとして見るだけではなく,より広範なコンテクストのなかで,超領域的な視座から捉えることと考えられます.例えば,巨大なサイバースペースや,直リンク的な流通,あるいは開放された表現ツールとの関係において,映像を語ることも新たな映像論を生み出すはずです.
- 他方で,こうした映像の浸透は,大学での教育などにも影響を与えています.それはメディアリテラシーのみならず.ネットワークやイメージなど様々なリテラシーの対象となりますが,同時に,その理解のためには制作経験も要請します.先に挙げたサイトでは,制作者からの投稿だけでなく,見る側からのアノテーションも煩わしいほどにまで活況を呈し,それ自体が新たな表現の場として成立しています.さらに素材提供とそこから生まれる二次創作は,映像をつくることが,もはや単純な創造行為としてはカテゴライズできないという状況を生みだしています.現実はすでに,制作/受容といった二元的な立場を融解しようとしています.
- 大会では,急速にそのリアリティを増しつつある映像圏のもと,それが要請する,教育の場としての映像と,映像の視覚文化という二つの側面から議論を深めます.
- 名古屋大学は,13の研究科と9の学部からなる大学です.そのなかで,映像を体系的・専門的に教え,研究する組織はありません.実行委員たちが所属し,あるいは教育にたずさわっている部局は,国際言語文化研究科・情報科学研究科・文学研究科・情報文化学部・文学部・日本近現代文化研究センター・教養教育院と多岐にわたっています.そうした専門の多様性が,今回のテーマに至った理由のひとつでもあります.そのことが大会での実りある議論と,今後の映像研究の展開への契機となることを願っています.