2011年度 中部支部第2回研究会

日時:2011年12月3日(土)15時~18時
会場:椙山女学園大学星ヶ丘キャンパス(名古屋市千種区星が丘元町17番3号)
教室:文化情報学部メディア棟128室

■研究会概要:テーマ「映像アーカイブ」
第一回「デジタルアーカイブ」に引き続いて、第二回は「映像アーカイブ」と題して、いくつか問題を提起し、それについてディスカッションを行う。

デジタル化され気軽、身近に見ることが可能になった今日、私達は「観る」「観た」ことで、「知った」「知識を得た」から「理解した」と誤読しているのではないか。私たちが行っている映像消費行為はあくまで「観た」ということであり、制作者、撮影者とインフォーマントとの関係を理解し、そこに描かれていることが「伝わった」「伝えられた」のとは深度が異なっていると考えられる。20世紀後半のムーブメントとして見ること=知ることと理解されてきているが、そうした視覚的な情報だけが大事なのではなく、他方で接触可能な距離感が伝える情報の重要性も同時に考えなければならないのではないだろうか。

◇基調講演での問題提起(映像人類学の立場から)

・「アーカイブ」に関して:
「デジタル」と「アナログ(フィルム、現在、進歩途中にあるペーパープリントなど)」を比較した場合、前者はフォーマットが次々に変わるだけでなく、実は劣化することが分かってきつつあるのに対し、後者には少なくともそれらの心配はない。
・「映像による記録」に関して:
手軽に撮影・配信可能なデジタル映像には、その手軽さゆえの危険があるのではないか。すなわち、撮影者(他にも作品に関わった人びと)とインフォーマント(主に研究者への情報提供者)の間の信頼関係が映り込んだアナログ映像には、デジタルの手軽な、しかし高解像度という意味で情報量の多いとされる映像とは異なる質が含まれているのではないか。この質こそが、今後のアーカイブにも求められてくるのではないか。

研究会スケジュール
・当番校挨拶:15:00~15:10
・基調講演:15:10~16:10「映像をアーカイブすること~映像人類学から見たビジュアルアーカイブ」

講演者:大森康宏氏(立命館大学映像学部教授)
・ディスカッション+会員との意見交換:16:10~16:40
・休憩(準備):16:40~17:00
・研究発表:17:00~17:30「写真と風景を往き来する眼差し」

発表者:茂登山清文氏(名古屋大学大学院情報科学研究科准教授)
◇発表概要
現代ドイツにも見られるように、写真表現において、風景をモチーフの主要な部分としてきたアーティストは少なくな。そこに D. Campanyは「自然を制御する欲望」を見、S. Brightは「逃避,郷愁の形」でもあると指摘する。一方で「ピクチャレスク」は、絵画と風景とを往還するなかで、現実の景観をつくりだしてきた。この発表では、美術作品と風景とが交差する事例にふれつつ、写真というメディアを通して表象されるアーティストの眼差しと景観づくりとの関係をさぐる。
・ディスカッション:17:30~18:00

■終了後、懇親会(星ヶ丘駅前)。

■交通アクセス
星ヶ丘キャンパス
http://www.sugiyama-u.ac.jp/sougou/access.html

支部研究会は非会員にも開かれていますので、関心のある方々にもお声をおかけの上、ぜひともご参加くださいますようお願い申し上げます。

2011年度 中部支部第1回研究会

日時:2011年9月23日(金・祝)14時~17時15分
会場:IAMAS 情報科学芸術大学院大学(岐阜県大垣市領家町3丁目95番地)
本校舎3階小ホール

●第一部:
研究発表
「儀礼としての映像視聴イベント―パブリックビューイング参加者の日独比較分析」
西尾祥子会員(名古屋大学大学院国際言語文化研究科博士後期課程)

要旨;
テレビ放送されるイベント視聴を儀礼の通過と見なす、いわゆるメディア・イベント
論が90年代以降耳目を集めてきた。現在ではパブリックビューイングと呼ばれる家庭
外での映像視聴イベントが世界各地で展開している。筆者はパブリックビューイング
参加後のアイデンティティ認識をめぐる問題を明らかにするために、日独参加者への
インタビュー調査について、ジェネップの儀礼研究を理論的枠組みとしたプロトコル
分析を行った。イベント期間中は脱構造的環境が発生し、国旗や国歌に関する問題を
棚上げする様子は日独で共通点があったが、儀礼通過後に集合的アイデンティティだ
けでなく自己アイデンティティの肯定が見られるドイツ参加者に対し、日本の参加者
にはどのような傾向も見られないという差異が発見された。

●第二部:
話題提供+ディスカッション
メディアアートの保存と活用を行う公的機関の設置に関する動向が不透明な現在,メディ
ア芸術コンソーシアムのオープントークの場において,メディアアート等のアーカイヴ
の議論がどのように展開されているのかを理解する。また今日活動するアーティスト
や研究者がそれぞれの立場により,そもそも「アーカイヴ」に何を期待し実際何をすべ
きなのかについて議論し,機構部分の構築作業が不可欠なメディアアート(映像表現を
含む)の表現特性を踏まえ,中部支部会員同士が「アーカイブ」に関する問題意識につ
いて意見を交わす。

登壇者
話題提供+パネラー:関口敦仁氏(メディアアーティスト/IAMAS学長)
パネラー:幸村真佐男氏(メディアアーティスト/中京大学情報理工学部教授)
パネラー:前田真二郎氏(映像作家/IAMAS准教授)

○研究会スケジュール
14:00~14:10 当番校挨拶
14:10~14:40 支部会員研究発表
14:40~15:00 休憩(準備)
15:00~15:15 話題提供(メディアアートのアーカイヴ)
15:15~17:00 ディスカッション+会員との意見交換
17:00~17:15 支部総会

交通案内
・タクシー:JR大垣駅北口から約5分
・バス:JR大垣駅北口から「黒野」または「経大」行き 約10分
・お車の場合:一般の方・学生用の駐車場が正門向かって右側にあり
・Googleマップ:http://g.co/maps/bekk6


研究会終了後,懇親会を予定しています。
支部研究会は非会員の参加も歓迎しておりますので、
ぜひ関心のお持ちの皆さまへご周知ください。

2010年度 中部支部第3回研究会

日時:2011年3月5日(土)午後2時~5時40分頃まで
会場:中京大学 八事キャンパス センタービル(0号館)0705教室

○第一部 研究発表(午後2時~3時20分頃)

・楊 紅雲 会員(名古屋外国語大学 非常勤講師)
【題名】中国映画流通市場における目下の急務
―配給体制の市場化と海賊版の撲滅

【要旨】目下の中国映画産業は流通面において、その発展を大きく阻害している主な
要素として、まず考えられるのは政府による配給市場の独占と海賊版DVDの続出である。
前者は配給市場のアンバランスを招き、後者は製作コストの回収に大きな影響をもた
らした。製作体制の改革を行うと同時に、配給体制の市場化と海賊版の撲滅は、健全
な映画流通システムを構築する上で最も重要な課題であり、政府にとって目下の急務
でもあると言える。

・幸村 真佐男 会員(中京大学情報理工学部)
【題目】素数映画その1 n進法による素数分布の可視化

【要旨】
ウラムの螺旋の事を素数な年の2011年の新年に知った。それで以前から気になってい
た素数進数で素数分布を表現するとどうなるかを確かめてみた。特に1471進数で表現
された素数分布に合成数と素数バンドともいうべき45度の角度の縞模様が現れた。

○第二部 学生作品プレゼンテーション(午後3時30分~5時40分頃)
参加予定校
・中京大学
・名古屋市立大学
・名古屋学芸大学
・名古屋大学
・静岡産業大学
・IAMAS
・愛知県立芸術大学

○会場へのアクセス
会場へは公共交通機関でお越し下さい

[交通アクセス]中京大学八事(やごと)キャンパス
名古屋市営地下鉄 八事(やごと)駅5番出口 徒歩0分
(アクセスマップ)
http://www.chukyo-u.ac.jp/information/access/index.html

[会場の教室]センタービル(0号館) 0705教室
八事駅5番出口直結のビルで7階へお越し下さい
(キャンパスマップ)
http://www.chukyo-u.ac.jp/information/facility/g1.html

2010年度 中部支部第2回研究会

日時:2010年12月10日(金)17時~19時半頃まで
会場:名古屋文化短期大学 A館3階アセンブリーホール

第一部 17:00~17:45 研究発表とディスカッション

畑あゆみ会員(愛知県立大学他非常勤講師)
<非人称の空間>というユートピア
自主記録映画『沖縄エロス外伝・モトシンカカランヌー』(1971)における上映運動の試み

研究発表要旨

『圧殺の森―高崎経済大学闘争の記録』(1967)を皮切りに盛り上がりを見せた1960年代末から1970年代初頭にかけての独立プロによる自主記録映画運動は、小川紳介や土本典昭、東陽一ら岩波映画出身のいわば「プロ」の作家たちだけでなく、運動の大きなうねりに刺激を受け映画製作を始めた多くの「小川以降世代」の若手ドキュメンタリストたちによっても支えられた。本発表では、この新左翼運動と密接に連携した自主上映ブームのなかで、当時の若手製作者たちが自らの自主上映運動の「場」をどのように捉え、理想化し、そしてそこに集まる観客とどのように向き合おうとしていたのかという点を検証してみたい。

第二部 18:00~19:30 講演とディスカッション

藤田修平氏(慶応大学環境情報学部専任講師)
台湾でのドキュメンタリー制作~方法論、歴史・ネイションをめぐって~」
1)作品の紹介と内容、背景の説明
2)制作方法について(その問題点、課題など)
3)そこで考えたこと(国民国家、オーラルヒストリーなど)

藤田修平氏略歴

南カリフォルニア大学の大学院で映像制作を学んだ後、台湾で制作活動を始める。台湾での生活や体験を基にした長編映画「寧静夏日」はフィラデルフィア映画祭や釜山国際映画祭をはじめとして、世界各地の映画祭で上映された。その後、神奈川県に住まいを移し、第二次世界大戦中に日本で軍用機の生産に従事した約八千人の台湾の子供たちに関するドキュメンタリー「緑の海平線」をプロデューサーとして、郭亮吟監督と4年をかけて制作。2003年より慶應大学環境情報学部の専任講師を務める。(研究室ウェブより転載)

*その他,会員による研究発表も予定しています。(発表者未定)

アクセス
http://nfcc-nagoya.com/juken/gaiyo/access/index.html

地下鉄新栄駅から徒歩2分です。構内に駐車できるスペースがないので、できるだけ公共交通機関を使って来てください。(周辺にはコインパーキングが多数ありますので、お車でお越しの際はご利用ください。)

正面玄関から入りエレベーターに乗り、三階で降りてください。会場はエレベーター右手にある大講義室です。

2010年度 中部支部第1回研究会

日時:201084日(水)15時~18

会場:中部大学人文学部棟 愛知県春日井市松本町1200

教室:2512教室(予定)

プログラム:

1.講演「日本のアニメ産業の歴史と発達 -いつ「アニメーション」が「アニメ」になったのか-」津堅信之氏講演会

スピーカー:津堅信之先生(京都精華大学マンガ学部准教授)
*日本のアニメーションの発達について、主に産業化とその特異性について、
そして近年の製作委員会方式の普及とその問題点について、解説したいと思い
ます(津堅氏)。

2.研究発表
中国映画のグローバル化(チャン・ツィイー出演作を中心に)」
スピーカー 徐冬梅氏(名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程)
放送局Channel4の映画事業はなにをもたらしたか - 今日の英国映画産業をめぐる放送局・政府機関・地域の映画組織の支援・協働体制」
スピーカー 木村めぐみ氏(名古屋大学大学院国際言語文化研究科博士後期課程)

3.交流会

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2009年度 中部支部 第3回研究会

日時:2010年3月11日(木)15時15分より

開催場所:愛知産業大学4301教室(4号館3階)

プログラム:
15:15~15:45 研究発表4都市アニメーション・レポート」林緑子会員

昨年から今年にかけて訪問した、イギリス・ウェールズ地方、フランス・アヌシー、韓国・ソウル、チェコ・プラハ、各都市でのアニメーション関連の施設や映画祭についてレポートを行う。

16:00~17:00 レクチャー「小坂本町映画祭の活動」(仮題)

ゲスト:清水雅人氏/豊田市で小阪本町映画祭を主催している、M.I.F.(Mikawa Independent movie Factory)通称:ミフの主宰者
進行:宇井朗浩会員(愛知産業大学)
内容:この映画祭は行政とは切り離した市民主体の映画祭としてはすでに8回開催の実績があり、こうした映画祭としては貴重な存在である。

当初豊田市役所の映画クラブとして始まった映画祭は現在では全国から作品が集まる規模になっている。また、M.I.F.自体が映画制作グループであり、市民の視点に立った独自の作品を制作し続けている。
今回は、そうしたM.I.F.の沿革と制作された作品を中心にレクチャーを行っていただく予定。
公式ホームページ
http://mif.jpn.org/web/about/

17:00~17:10 休憩(上映+プレゼン準備)

17:10~19:10 学生作品プレゼンテーション

○参加校
・名古屋学芸大学
・中京大学
・IAMAS
・名古屋市立大学
・愛知産業大学

19:10〜 懇親会 Continue reading

2009年度 中部支部 第2回研究会

日時:12月4日[金]18時~20時30分

開催場所:名古屋市立大学芸術工学部(会場,北千種キャンパス|A305教室)
http://www.sda.nagoya-cu.ac.jp/

18:00~ 研究発表
経験的視空間の表現」伊藤明倫会員(名古屋市立大学)

18:30~ 研究発表
電子ネットワーク社会におけるアナロジー思考の可能性」林桃子会員(名古屋大学)

19:00~20:30 講演会
メディアを跨いだらこうなった!」くろやなぎてっぺい

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2009年度 中部支部 第1回研究会

日時:9月25日[金]16時

開催場所:
名古屋大学(会場,名古屋大学国際言語文化研究科多目的講義室|全学教育棟北棟406号室)

シンポジウム「メディアとアートの夏━━ヨーロッパ|日本2009

パネラー:
加藤良将(中京大学,Santarcangelo39)
藤木秀朗(名古屋大学,Ars Electronica2009)
水野勝仁(名古屋芸術大学,ISEA2009)

2009年夏にヨーロッパで開催されたメディアアートの会議や展覧会について,パネラーそれぞれの視点からレポートしてもらい,その動向,日本における今後の展開の可能性を議論する.各レポートを20分,ディスカッション30分を予定.その後,支部総会をおこなう.